小さいころから本屋が好きだ
月に1度家族で外食に行くと会計の前に千円をもらい
「好きな本を買ってきなさい」と言われ兄弟で本屋に行った
漫画でもいいから字に触れろという父の教えからだ
小学生に千円は大金で大体の欲しいものが買えた
兄弟二人で4、5冊は買えるからいっきにまとめ買いできるのである
本屋に行く途中、興奮した兄が急に走り出し左折してきたバイクにぶつかり
血まみれのまま本を選びに行き、やさしい書店員さんが救急車を呼んでくれたこともあった
僕は本選びに夢中で兄の事なんか少しも心配ではなかったが
それを母親に伝えた時ひっぱたかれたので
傷ついた人がいるときは心配をして行動を起こさなければいけないということを知った
本屋が無ければ僕はサイコパスだったかもしれない
中学に入り学校にやってきた空前の洋書ブーム
ハリーポッターやダレンシャンなどが牽引し引っ張ていったそのムーブメントに僕は乗れずに教室で石田衣良の本ばかりを読んでいた
正直中学に入りカタカナが海外で通用しない知ったぐらいだから
洋書なんか手に取れるわけがない
初めは
本読むとかいがーい とか
IWGPじゃーんとかちやほやしてくれた女子は周りからいなくなった
しまいには本を読んで泣いていたら
「それ全部作り話だよ」
人の口から出てくるとは思えないほどのおぞましい言葉も吐きつけられた
類は友を呼ぶというが友達もサイコパスだったのである
本は好きだがそれ以上にちやほやされる方が好きだったので学校で本を読むのはやめた
ちやほやされたいのに馬鹿にされるのは意味不明である
そしてちやほやされたいがために本屋に行って洋書を探した
そんな時に手に取った作品が
ダーシーフレイの「ラストシュート」
深紅の帯にコンクリートの打ちっぱなしに映るバスケットリングとシュートを打つ選手のシルエット
B-boyブームもありカッコいい!!!の象徴であったバスケットを題材
あの時ほどの「これだ!!!!」感は人生にやってこないと言い切ってもいい
目立ちたがりサイコパス少年はうっきうきで買いました
しかし焦ってはいけない
これを明日学校で読もうものなら
「BE動詞の使い方もわからないのにアメリカのスタイルなんか想像できるわけがない」と
馬鹿にされるに決まっているのだ
実際アルファベッドの小文字を書けないのだからそれはまあしょうがない
そもそも洋書が読めないと自分で思い込んでいたわけだから
家で読み、理解をして、その上で学校でもう1度読もう
完璧な作戦である
一切スキのない戦術 細胞たちがスタンディングオベーションである
ちなみによくHIPHOPの歌詞にある
Crap your hands everybody
(みんなで手を叩こう)的な言葉を
みんなでカニを食べようと翻訳して
なんでみんなカニのうた歌うんだろうね!って無邪気に聞いたら
爆笑された挙句帰りのホームルームでもわざわざ言われ
恥をかいたのを覚えています
家に帰り本を開き読み始めると内容はこうだった
ニューヨークのコニーアイランドに住む4人の高校生
仲が良かった4人は貧困や治安の悪さと闘いながら日々を過ごす
バスケットボールに夢中になり
そして、いつかみんなバスケットボールで自分の置かれている状況を打開する事を目標に
ニューヨークの強豪校「リンカーン高校」で活躍しスカウトの目に留まり
大学の奨学金を得ることを誓い合うノンフィクションのストーリー
話の内容はかなりヘビーでした
アメリカの学生はスポーツで活躍するだけでなく
全国模試のような試験で一定以上成績を残さないと大学には入れず
学業、スポーツ共に優秀でないと認められないのである
年齢がいくらも変わらない人たちが
こんなにも真剣に物事に取り組んでいる事に驚き
そして自分がどれだけ恵まれているかを知りました
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